パーソルテンプスタッフ株式会社様:事業最前線でのリスクマネジメント導入事例

パーソルテンプスタッフ株式会社様:事業最前線でのリスクマネジメント導入事例

重要リスクの低減と事業の持続的成長を目指す~BPO事業におけるERMの導入~

パーソルテンプスタッフは、パーソルホールディングス傘下の人材サービス企業です。派遣事業を中核とし、昨今はBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業も急成長を遂げています。一方で、全社の仕組みやルールが派遣事業をベースに構築されていることから、BPO事業では、問題が発生した後に対応するケースが多く見られました。そこで、リスクに対し予兆を捉えて未然に防ぐべく、BPO事業で独自にERMを導入しました。ERM導入により、リスクを低減するだけでなく、顧客からの信頼をさらに高めることで事業の持続的な成長を目指しています。

【ERM導入前】インシデントは事後対応が限界

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パーソルテンプスタッフ株式会社は1973年の設立から、今年創立50周年を迎えました。創立以来、一貫して人材派遣を中心に人材サービスを提供してきましたが、2010年4月にはアウトソーシング事業本部を新設してBPO事業の促進を図ってきました。

BPO事業では、主に当社のスタッフがクライアント企業のオフィスに常駐する「オンサイト型」で事務業務や営業支援業務を行っています。コロナ禍には官公庁や自治体からの業務委託も増え、過去13年間で本事業の売上は10倍近くに成長しました。

 

BPO事業におけるリスクマネジメントは、BPO事業の間接部門であるBPOガバナンス室が担当しており、会計業務や契約書の調査・管理、インシデント対応のチェック、モニタリングなどを行っています。ERMは、企業のコーポレート部門が主導するケースが多いのですが、当社の場合は、BPO事業向けのERMを導入している点が大きな特徴です。経営管理の仕組みやルールが主力の派遣事業をベースに構築されてきたため、BPO事業を管理するのに十分な機能をカバーする必要があったことがその背景としてあります。

派遣事業は法制度が整備されており、コンプライアンス対応が最重要課題として明確に位置づけられていますが、BPO事業はクライアントによって業務が異なり、必要となるリスクマネジメントの要素も多岐にわたります。これまで、BPO事業の管理業務構築は実施してきたものの、事業が急拡大する中で整備が追いつかず、情報漏えいをはじめとしたインシデントが発生し、その事後対応と再発防止に取り組む、後手の対応となっていました。

【ERM導入】BPO事業に即した仕組みとして新たに体系化

BPO事業全体としてリスクを適切にマネジメントすることは喫緊の課題であり、ERMの導入で期待したことは、リスクの予兆を捉えて未然に防ぎ、インシデントを減らしていくことはもちろんですが、事業の成長を促進する機会をリスク(=未来リスク)として捉えて対策する、事業活動そのものと融合したリスクマネジメントの構築でした。

当社と当社の持株会社であるパーソルホールディングスには、すでにリスクマネジメントの仕組みがありましたが、前述の通り、当社のリスクマネジメントは派遣事業を前提としたものです。ERM導入にあたっては、BPO事業に即した仕組みとして、新たに体系化していく必要がありました。

最初に取り組んだのは、BPO事業におけるリスクマネジメントの現状把握です。具体的には、6要素(「戦略と方針」「プロセス」「人・組織」「レポート」「方法論」「データ」)についての現状を5段階で評価。次年度以降の目標レベルを設定し、そのために必要なアクションを明確にしました。合わせて、リスクマネジメント研修(リスクマネジメントとは何か、どのような取り組みなのか)も実施しました。

明確にしたアクションプランに沿って、ERMの仕組みを構築していきました。BPO事業の特性上、どのようなリスクが顕在的・潜在的に存在するのかを、フロント部門の意見も反映しながら洗い出しを行う一方で、マネジメント層においての、BPO事業重要リスクの認識合わせを行いました。

その結果、重要リスクとして、業務運用品質、顧客(クライアント)ニーズ把握、人と組織のコンディションに関わる3つをテーマに選びました。2つ目の「顧客(クライアント)ニーズ把握」とは、クライアントの期待に応える提案・業務遂行ができず、ビジネス成長の機会を逃すことで、まさに未来リスクのマネジメントにかかわる項目です。

【現在の取り組み】KRIを設定し、リスク状況をモニタリング

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これら3つの重要リスクについて、リスク状況を把握できるKRI(Key Risk Indicator)を設定し、リスク発生の可能性が高まっていないかをモニタリングし、事前に対応することとしました。

例えば「業務運用品質」については、過去にインシデントが発生したプロジェクトを分析し、スタッフの稼働時間と残業時間の前月比較や、稼働スタッフ数の前月増減比較などから、KRIによる数値分析評価によるリスクが明らかになりました。そこで、KRI値の増減が顕著なプロジェクトについては、現場のマネージャーにアラートを送付し、現場の状況確認や、改善対策、対応を促すようにしました。

 

事業の最前線で活躍するスタッフを含めてリスク評価を実施したことで、事業部門全体として、リスク軽減のための施策を検討・実施する風土が醸成されていったことは大きな成果と言えます。

BPO事業としては、事業特性や顕在化したリスクの把握はできていましたが、リスクの体系的な整理や、取り組みにあたっての評価フレームがありませんでした。リスクカタログやリスクシナリオの定義・策定、KRIの設定など、専門家としてプロティビティが提供してくれたアドバイスや、“未来リスク” の予兆を捉え未然に防ぐ、攻めのリスクマネジメントという考え方は、マネジメント層をはじめ、全社の意識改革とERMプロジェクト推進の貢献と次につながる大きな前進として捉えています。

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BPO事業としては、事業特性や顕在化したリスクの把握はできていましたが、リスクの体系的な整理や、取り組みにあたっての評価フレームがありませんでした。リスクカタログやリスクシナリオの定義・策定、KRIの設定など、専門家としてプロティビティが提供してくれたアドバイスや、“未来リスク”の予兆を捉え未然に防ぐ、攻めのリスクマネジメントという考え方は、マネジメント層をはじめ、全社の意識改革とERMプロジェクト推進の貢献と次につながる大きな前進として捉えています。

【今後に向けて】BPO事業の持続的な進化と成長へERMを他社との差別化要素に

2023年4月、「BPO SBU(Strategic Business Unit)」が新設されました。当社グループにおける、BPO事業への成長期待の表れです。顧客への提供価値を高め、BPO事業の持続的な進化と成長を実現するためにも、ERMによるマネジメントを強化していこうと考えています。
VUCA(Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性))の時代においては、守りのリスクマネジメントだけでなく、未来のリスクマネジメントの両輪で、継続的な業務品質・効率性の向上と顧客への価値提供が重要です。

今後のありたい姿として、事業のフロント側で意識せずとも、急カーブ(危ないところ)で自然とブレーキが効いている、また、直線では思い切りアクセルを踏めるようなリスクマネジメントを実現することです。引き続き、プロティビティには指南役として伴走いただきたいと思っています。

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(向かって左より) BPO事業管理部 BPOガバナンス室 マネージャー 土屋 和章氏BPO事業管理部 BPOガバナンス室 藤本 羽純氏ビジネスプロセスデザイン本部 本部長 上原 加寿子氏BPO事業企画管理本部 BPO事業管理部 スペシャリスト 吉野 基氏

※ ご担当者の役職名は、インタビューを実施した2023年7月時点のものです。
 

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