原点回帰:なぜサステナビリティの取り組みは困難があっても続くのか 1 min read アリセ・マウロ・メイソン著アソシエイトディレクタ、サステナビリティ&ESG要約:企業はサステナビリティの取り組みを当初の計画どおりに進めているか、戦略を調整しており、サステナビリティの取り組みを完全に停止しているわけではありません。プロティビティのウェビナーでは、サステナビリティがコンプライアンスの要請以上のものと捉えられている理由について、洞察が共有されました。考えてみてください: そもそも、なぜサステナビリティプログラムを始めたのでしょうか?もし、人、地球、事業、企業目的がどのように関連し、相互に影響し合っているかを、データを用いて体系的に理解したらどうなるでしょうか?もし、イノベーションを継続的に受け入れながら、ビジネスの能力を成熟、拡大させ、事業の継続性を確保しつつ、前向きな影響を目指すことができたらどうでしょうか?ここ数カ月、企業におけるサステナビリティへの取り組みが、経済的および社会政治的な懸念に押される形で後退しつつあり、規制圧力の一時的な緩和により、サステナビリティ報告の優先順位が一時的に下がっている企業も少なくありません。このような状況を背景に、プロティビティはウェビナーを開催し、この優先順位の変化について議論し、企業が現時点でどのような状況にあるのか、あるいはどこに向かうべきなのかを再確認しました。ゲストスピーカーに、カリガン・インターナショナルのESGディレクター、クリスティーナ・ベックマン氏、アーサー・J・ギャラガーのグローバルESGコントローラー、プージャ・ナイト氏、ヘインズ・アンド・ブーン法律事務所の環境分野パートナー、クラリッサ・ミルズ氏をお迎えしました。まず、ウェビナー参加者に対してサステナビリティの現状についてのアンケートを実施しました。その結果、3分の1を超える35%の企業が、サステナビリティの準備を計画通り継続していると回答し、さらに40%は、サステナビリティ戦略の再評価と調整を行っているが、活動を中断しているわけではないと回答しました。活動を一時停止していると答えたのはわずか16%で、10%はむしろ活動を加速させているとの回答も得られました。これらの結果は、世間で話題となっている「サステナビリティ離れ」とは対照的なものであり、サステナビリティが消えてなくなるものではないことを示しています。再評価と調整とはどういうことか?ウェビナーのテーマは「原点回帰(Back to Basics)」であり、「そもそもなぜサステナビリティに取り組むのか?」という本質的な問いに立ち返ることです。この問いに対する答えは過去から現在までの間に大きく変遷してきました。最初は投資家の要求への対応、次に規制への対応、そして顧客や従業員の期待への対応と進化し、現在では、多くの企業が単なる「価値観の表明」や「コンプライアンスの証」としてではなく、事業のレジリエンス(回復力)や健全なリスク管理の要素」としてより深く理解されるようになってきたのです。「原点回帰」という考え方は、何かをやめることではなく、むしろ、サステナビリティを企業の根本的な戦略や原則にしっかりと結び付ける絶好のタイミングであるという認識です。それにより、企業は事業を最も効果的に運営し、レジリエンスを保ちながら、収益にも好影響をもたらすことができるのです。サステナビリティ=レジリエンス(回復力)Gallagher Reによれば、昨年、気候や天候による経済的損失は全世界で4,170億米ドルに上りました。 このことは、従業員、サプライヤー、施設がさまざまな形でこの統計の一部となった企業にとって他人事ではありません。ウェビナー中、参加者の一人が率直な質問を投げかけました。「気候変動による災害が頻発するようになり、その結果、保険や金融業界に財政的な負担がかかることを考えると、企業はレジリエンスと事業継続性を確保するために、こうしたリスクの評価と軽減を優先すべきではないか?」この問いへの答えは「そのとおり」です。この点について、クラリッサ・ミルズ氏は、リーダーが気候変動リスクを理解し、大災害や不測の事態に備えた計画を立てることの重要性を強調しました。クラリッサ氏は、規制を見失うことなく行動し、将来の影響を最小限に抑え、訴訟リスクを減らすために、気候関連のリスクを特定し、管理する取り組みを継続するよう促しました。これは、自社はリスクにさらされていないと考えている企業にも当てはまります。クリスティーナ・ベックマン氏は、気候変動リスク評価とダブル・マテリアリティ評価(財務的・非財務的観点からの重要性評価)を定期的に実施し、リスクがどのように変化しているかを確認することの利点を強調し、気候変動リスクと関連するサステナビリティ目標について、組織内で継続的に教育を行う必要性を強調しました。「孤独」を感じるリーダーたち - でも、本当はひとりではありません多くのサステナビリティリーダーは、自分ひとりで取り組んでいる「孤独」を感じていると、とプージャ・ナイト氏は語り、それは本来そうあるべきではないと強調しました。情報へのアクセスを効率化するために他のチームと協力し、規制に関するガイダンスを得るために法務担当者と協力し、効率的なデータ取得と収集のためにデータ分析チームと協力することで、サステナビリティの負荷は軽減され、孤立感も薄れます。最終的には、サステナビリティは企業モデルに組み込まれ、ビジネスのあらゆる側面を巻き込むことになり、全員がステークホルダーとなるべきです。行動を促すメッセージ:関わり続けよう リーダーが、必要に応じてサステナビリティの取り組みを再評価し、調整しながらも、それを止めることなく、柔軟に関与し続けることを強く推奨します。以下のポイントを忘れないでいください。サステナビリティは、単なる「あったらいいな」ではなく、長期的な価値と成長を促進するビジネス上の必須事項です。サステナビリティをすべての業務に統合する企業こそこれからのリーダーとなります。早期かつ継続的な行動が重要です。健全なビジネスとサステナビリティの成果は、バリューチェーン全体にわたる良好な関係が必要です。サプライヤーや顧客との協力、信頼、透明性は、サステナビリティの目標を達成する上で不可欠です。このような課題を抱えているのはあなただけではありません。他の企業・専門家と連携してサポートを受けましょう。法務チームと協力して規制を理解し、データ部門と連携してデータ分析・プロセス・テクノロジーを活用することで、効果的な情報収集と洞察の獲得が可能になります。サステナビリティへの取り組みを成功させるためには、環境に優しい慣行を業務に統合し、環境に対する責任を推進し、すべての人を巻き込むことが必要です。明確な目標を設定し、新しいテクノロジーを活用し、チームを超えて協力することで、持続的で前向きな変化を実現しましょう。「困難の中にこそ機会がある」アルベルト・アインシュタインの有名な言葉を、今こそ活かすときです。サステナビリティを「困難」としてではなく、「機会」として捉えてみませんか?サステナビリティは、ビジネスにおいて人々をつなぐ力を持った特別なテーマです。企業内のほぼすべての事業部門が、サステナビリティに関与し、役割と責任を担えます。この力を活かして、卓越したオペレーションとレジリエンスを組織全体で推進することができるのです。詳しくは、オンデマンドでウェビナーをご覧ください。また、当日のアンケート結果はこちらからご覧いただけます。プロティビティがサステナビリティ戦略、気候変動リスク評価、データ収集や報告においてどのように支援できるかについてご興味がある方は、本記事の執筆者にお問い合わせいただくか、弊社までご連絡ください。(2025年8月8日)英語版ブログ「https://blog.protiviti.com/2025/06/27/back-to-basics-why-sustainability-initiatives-persist-despite-challenges/」へのリンクはこちら Topics ESG/サステナビリティ