日清食品ホールディングス株式会社:DXによる監査プロセスの標準化 1 min read ダウンロード 部内の全員が活用できる内部監査管理基盤の構築で業務の高度化と効率化を実感~内部監査業務におけるGRCツールの導入~「カップヌードル」をはじめ、さまざまな食品の製造・販売を国内外で展開する日清食品ホールディングス。グローバルカンパニーにふさわしい内部監査部門として高度化を図るなかで、グローバル内部監査基準に準拠した“日清流”の内部監査プロセスを確立すべく、2026年にOptro社の「OpsAudit」を導入しました。その決め手の1つとなったのは、事前のPoC(概念実証)でした。付加価値の高い環境を構築し、部内の全員が活用できる状態をつくり、早くも導入メリットを実感しています。 ダウンロード Image 【GRC導入前】内部監査部門のさらなる高度化を追求日清食品ホールディングス株式会社は1948年に創業しました。現在、国内外に連結・非連結子会社78社を有し、22カ国と地域、36の工場を展開。「即席めん」をはじめ、冷凍食品、チルド食品、飲料、菓子、シリアルなど、さまざまな食品を製造・販売しています。当社のグローバル監査部は、国内外の内部監査部門と連携しながら、連結・非連結子会社78社を所管しています。グローバルカンパニーにふさわしい内部監査部門として高度化を図るべく、過去5年間、改革に着手してきました。 その第一歩が、グローバル内部監査基準(GIAS)への適合です。2020年に簡易ギャップ分析による課題抽出を行い、改善活動を経て、2024年4月に適合を果たしました。また、2025年1月に改訂された新グローバル内部監査基準に対し、2025年4月に完全適合「Full Achievement」し、2026年7月にグローバル内部監査基準の認証制度「IIA Global Quality Certification」において日本第1号の認証取得を達成しました。大きな進化をもたらしたのは人的資本の増強です。当部の人員数は5年間で3倍超の22人となり、専門領域の監査や監査DXなどへの対応も可能になりました。GIASへの適合を果たし、“日清流”の内部監査プロセスを確立していくなかで、拡大する組織と戦略下においても確実にそのプロセスを運用し、さらなる高度化を目指すことが次の目標となりました。この目標の実現には運用を支える基盤が不可欠であると認識し、GRCツールの導入検討を開始しました。【GRC導入検討】PoCを実施し、部内のコンセンサスを形成 GRCツールに求めた要件は4つありました。1つ目は、監査プロセスの標準化。ワークフローや作業ステップの管理、監査手続を標準テンプレートで管理できることです。2つ目は、監査活動の可視化。これまでも年間約40件の監査を手がけるなかで、進捗管理については“力業”での対応を迫られてきたことから、年度監査計画全体の進捗管理や、個別監査におけるタイムラインの明確化を簡単に行いたいというニーズがありました。3つ目は、将来的な実装要件になりますが、グループ監査部門の連携です。当社グループは、国内で上場しているグループ会社と香港市場に上場している香港法人、ならびに米州地域統括会社にも内部監査部門を持ち、彼らとの連携を図るための情報基盤を構築したいと考えていました。4つ目が、3ラインモデルにおける2線との連携が可能な拡張機能です。 Image 複数のツールを検討するなかで、Optro社の「OpsAudit」の導入を決定した大きな理由は、プロティビティから、いち早く当社の内部監査プロセスを加味したPoC環境をご提供いただいたことです。ツールを導入しても、部内の全員が使いこなせなければ意味がありません。当部には多様なバックグラウンドを持つ人材がいて、ITに苦手意識を持つメンバーも少なくありません。彼らが「これなら大丈夫」という状態をつくるために、PoC環境を用いた検証を行いました。最終的には、全員参加で各人がOpsAuditで1監査サイクルを回し、部全体としてのコンセンサスを形成していきました。PoCでは、プロティビティがわれわれの監査調書を読み解きながら、最適と思われる環境を整備していただきました。PoC環境にログインしてすぐに「このツールで運用できそうだ」と実感が持てたことは大きな収穫でした。また、こうしたGRCツールへの移行時に多くの企業が抱える、レガシーなExcel調書からの移行問題について、Excel調書からの完全な脱却を推奨するのではなく、可能な限り親和性を保ちながら運用設計をサポートするとの意思を示していただいたことは非常に心強く感じました。 Image 【導入後の取り組み】ダッシュボードの開発と標準テンプレートの作成に腐心PoCの段階で、運用と運用のための実装については概ねクリアになっていたので、データ項目の設定など定型的な検討事項は早期に方針を確定させ、より付加価値の高い環境構築に注力しました。1つは、ダッシュボードの開発です。ツールはただ入力して終わりではなく、それが何かを見える形にすることで、みんなが活用するようになります。年度監査計画の進捗を俯瞰的に確認するもの、個別監査活動におけるリスクや手続の種類・方式などを俯瞰的に確認するもの、発見事項の重要性や関連するリスクを分析するものという、3種類のダッシュボードを開発しました。 もう1つは、監査手続の標準テンプレートの作成です。従来は、過去の部門ごとの監査調書を参考にしながら個別監査計画を立案しており、脈々と受け継がれてきたノウハウはあっても、構造化・集約化がなされていない状況でした。過去の監査調書から頻出する手続を標準手続として抽出した結果、100を超える監査手続が標準テンプレートとして形式知化されました。なお、本番運用にあたっては、IT部門の出身ではない部員が「OpsAuditチャンピオン」の役割を担い、操作手順書の作成や説明会の開催、部内ユーザーサポートまでを一貫して対応してもらっています。PoCの効果もあってか、全員が前向きに活用を開始しています。【今後に向けて】タイムリーな情報共有と監査品質の均質化を図る 大きな導入メリットは、やはり標準テンプレートの活用による業務の標準化、効率化です。運用を開始して4カ月程度ですが、監査業務のスピード感がアップしたように思います。これまでも部内のミーティング等で進捗管理を行っていましたが、ダッシュボードで全員がオンタイムで確認できるようになり、意思決定は早くなりました。引き続き監査手続の標準テンプレートを充実させつつ、中長期的には、グループ監査部門へのOptroの普及によるタイムリーな情報共有と監査品質の均質化を図るとともに、さらにはリスク管理・ガバナンス部門との連携を深めるなど、タテ・ヨコ方向への拡張も検討しています。GRC業務領域に係る部門が三位一体となり、総体としてグループガバナンスへ貢献するための情報プラットフォームに成長していくことが、将来の目標です。プロティビティには、最初のツール提案の段階からPoCの実施も含め、プロアクティブに関与していただきました。われわれの業務を理解し、踏み込んだ提案をしてくださったことや、クロージングまでの積極性やスピード感を高く評価しています。今後もOpsAuditが注力するAI機能などの新機能について、有効活用するためのソリューションを提案いただくなど、当社の内部監査の高度化を推進するためのソリューションパートナーとして、伴走支援をお願いしたいと思っています。 Image (左より)グローバル監査部 曹 媛媛氏、島野 貴行氏、丸山 洋平氏 Topics 内部監査/コーポレートガバナンス デジタルトランスフォーメーション