解説 : 第5次マネーローンダリング指令

解説:第5次マネーローンダリング指令
解説 : 第5次マネーローンダリング指令
次年度のFATF相互審査を控えて、アンチマネーロンダリング関連法規制等への準拠性が強く求められつつあります。取り組みを進めるうえで先進的と言える他国の状況を知ることは有益であり、今回はEUの状況を紹介いたします。

EU(議会と構成国)は、FATF勧告等に基づいた施策として、EU域内共通のマネーローンダリング指令を定め、EU構成国に実施を求めています。当該指令は近年のパナマ文書等により明らかになった富裕層による租税回避、テロリストによるプリペイドカードの利用や仮想通貨の急激な高騰等を受けて、AML/CFTに係る金融取引と所有者等に係る透明性の向上を目的に、公表されました。

主な内容は、以下のとおりです。
  • 仮想通貨取引所と仮想通貨ウォレットを提供する会社は、銀行等と同様の規制が適用されます。具体的には、社内規則の策定、カスタマー・デュー・ディリジェンス、取引モニタリングの実施、疑わしい取引の届出等です。
  • プリペイドカードにおける本人確認義務の変更(対面では250ユーロから150ユーロへ、オンラインでは50ユーロ以上)及びEU域外で発行された大量のプリペイドカード取引はモニタリングの対象となり、必要に応じて取引を拒絶することも規定されました。
  • 真の受益者の透明化第4次マネーローンダリング指令で情報を取得する体制は確立しており、今回の第5次マネーローンダリング指令では検証する仕組みとして下記の実質的株主と真の受益者に係る登録制度を導入しました。
    • 企業の実質株主を、登記簿等に登録し、一般に公開する登録制度の導入
    • 信託等に係る真の受益者については、個人のプライバシー保護を守りつつ、規制を遵守することを両立するために、税務当局等のみが真の受益者を確認するための登録制度の導入
  • EU域内FIU(金融情報機関)及び監督官庁間の協力と情報共有の強化を目指し、次の情報を共有することが求められます。
    • 口座保有者(氏名・名称、本人確認データ)
    • 真の受益者(氏名、本人確認データ)
    • 銀行口座又は決済口座(国際銀行口座番号、口座開設日・閉鎖日)
    • 貸金庫(使用者氏名、本人確認データ)
  • ハイリスク国に対する協調したアプローチが適用されます。不透明な真の受益者に係る情報、制裁対象、情報交換に非協力的な国・地域に対しては、厳格なカスタマー・デュー・ディリジェンスを実施することが求められます。
 
2019年に第4次対日相互審査後を迎える日本にとっては、EUの取り組みはAML/CFT管理の高度化への重要な情報であり、道標です。また、欧州銀行がコルレス先に対して求める事項に適切に対応するための参考資料であるともいえます。
 
(特集記事:メールマガジン2018年6月号)

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