解説:2019年トップ10リスク

Executive Perspectives on Top Risks 2019

解説:2019年トップ10リスク

ノースカロライナ州立大学ERMイニシアチブとプロティビティが共同で実施した直近の年次調査によると、取締役会のメンバーと経営執行陣は、2019年のビジネス環境は過去2年間と比較して、リスクがさらに高まる環境であると見ています。

業種、規模、地域を問わず、すべての企業のリーダーが異口同音に発している懸念は、自らの事業運営に影響を及ぼす可能性について、一体今後、“何”が起こってくるのかということです。変化のスピードは今までになく早まり、“招かれざる客”ならぬ“招かれざるサプライズ”が一夜にして、ビジネスモデルを陳腐化させ、レピュテーションを失いかねない状況が生まれてきていると危惧しています。

その背景としては、次に掲げる2019年に地球規模で影響を及ぼす可能性の高いと考えられている不確実性があります。それは、台頭するナショナリズムが引き起こす地政学上のリスク、絶えることのないサイバー攻撃、“ボーン・デジタル”企業による市場の破壊的変革、労働市場のひっ迫、自然災害の脅威、変動するエネルギー価格、継続するテロの脅威、政治的対立、上昇気味の金利動向、SNS等でいとも簡単に拡散するウィルス、ブレグジットの動きなどです。

異なるスピード感、時間軸で発生してくる、これらの全社的な視点で見るべき複雑な不確実性に対して、グループ組織横断的(エンタープライズワイド)で十分な対処をしないと、レピュテーションのみならず、“ゴーイングコンサーン”(持続性)自体に大きな影響を与えかねません。取締役会及び経営執行陣にとしては、今や、受け身的な対応では済まされない状況が生まれてきているのです。

さらに重要なステークホルダーからは、組織が戦略遂行上、どのようなリスク(Nature)を、どの程度(Magnitude)受け入れようとしているのかに関して、より高い透明性を求められています。経営陣としては、グループとして組織的なリスク対応能力(Risk Management Capability)の設計、導入を推進し、戦略に影響を与える重要リスクの特定・対応を通して、残存リスクを経営陣が許容する範囲に収める工夫がいっそう求められています。

このような状況で、今回、組織の成長に影響を与えるマクロエコノミック・リスク、戦略の有効性に影響を与える戦略リスク、戦略の遂行に影響を与えるオペレーショナル・リスクに焦点を当てて調査を行った結果について、トップ10リスクを中心にその概要を次に示します。

1. 既存業務構造の陳腐化(オペレーショナル・リスク)

既存の業務構造やレガシーなITシステムでは、品質、上市までの時間、コスト、イノベーションなどが期待されるレベレで業績・成果を上げていくことは困難となるリスクであり、特に競争相手との関係で、“ボーン・デジタル”企業や、既に自社よりも低コストオペレーションや、優れた業務構造を実現している競争企業と戦っていくことが困難となるリスクです。

2. 後継者問題と人材確保(オペレーショナル・リスク)

後継者育成や次世代への引継ぎがしっかり対応できないことや、有能な人材の確保や採用ができないことにより、事業目的の達成が制限されるリスクです。

3. 法規制の変更(戦略リスク)

法規制の変更や規制当局の監視強化により、製品の製造やサービスの提供に大きく影響を与えるリスクです。

4. サイバー攻撃(オペレーショナル・リスク)

サイバー攻撃の脅威が、業務の推進やブランドの維持に大きな影響を与える可能性について、組織として十分な管理や準備ができていないリスクです。

5. 変化への抵抗(オペレーショナル・リスク)

組織内における変化に対する抵抗が、ビジネスモデルの変革や業務構造の改革の推進を妨げるリスクです。

6. ビジネスモデル(戦略リスク)

既存のビジネスモデルを大幅に変更しなければ、インパクトをじわじわと、しかし突然大きく与えかねない破壊的な技術革新や、新たに想起してくる新規テクノロジーの急激な進展が、組織の競争力やリスク管理能力を上回るリスクです。

7. プライバシー/情報セキュリティ(オペレーショナル・リスク)

プライバシー/情報セキュリティの保護に、想定以上の資源投入が必要となるリスクです。

8. データ解析/ビッグデータ(オペレーショナル・リスク)

データ解析やビッグデータを活用し切れないことにより、市場の情報が十分確保できず、さらに生産性や効率性を向上できないことから、コア業務の遂行、ひいては戦略の達成そのものに大きな影響を与えるリスクです。

9. 組織カルチャー(オペレーショナル・リスク)

組織カルチャーが、戦略達成に著しい影響を与えかねないリスクについて適時の識別や報告を促進することができず、コア業務の遂行、ひいては戦略の達成そのものに大きな影響を与えるリスクです。

10. 顧客ロイヤルティ(オペレーショナル・リスク)

顧客のロイヤルティの保持が、ニーズや嗜好の変化や、顧客層(企業特性、個人の年齢・性別・収入など)の特性区分の変化により難しくなりつつあるリスクです。

<<本サーベイのレポート(英語)はこちら>>

https://www.protiviti.com/US-en/insights/protiviti-top-risks-survey

(特集記事:メールマガジン2019年1月号)

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