解説:全米取締役協会(NACD)、取締役会によるESGへの戦略的オーバーサイト指針を発表

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解説:全米取締役協会(NACD)、取締役会によるESGへの戦略的オーバーサイト指針を発表

2020年9月、全米取締役協会は、取締役会において協議すべきテーマとしてESGを如何に戦略的に取り扱うべきか、その協議指針として“Strategic Oversight of ESG: A Board Primer”を公表しました。ESG(環境、社会、ガバナンス)の推進は、企業価値の保全、創造、そして最終的には企業の将来に大きな影響を与えます。ESGは、事業価値を創出する一方で、ESGに伴うリスクが広範囲に及ぶというその両面から、取締役会において重要なガバナンス課題となっています。コロナウイルスによるパンデミックにより、ESGへの関心が企業のリスク管理を後押しして、その回復力を向上させる可能性があるとの認識も高まっています。

そこで取締役会がESGを効果的に監督するための実践的な方策を検討すべく、全米取締役協会は、企業規模や成熟度、さらにさまざまな業界を代表する企業の取締役やサステナビリティ担当役員にインタビューし、その洞察をまとめて今回公表したものです。ESGの初心者から経験豊富な取締役のために設計されており、次のような特徴があります。

課題 1: ESG の定義

従来、取締役会では、ESG活動は狭くとらえられていましたが、今やESGは、企業の社会的責任の概念をはるかに超えたビジネス活動を包含したものとなっています。経営陣と取締役は、企業戦略に基づいて組織固有のESGを定義するために協力する必要があります。

課題 2: ESGを企業戦略に統合する

ESGを会社全体の戦略に組み込むことで、企業の経営資源を最も重要なビジネス領域に集中させることができます。取締役会は戦略設定プロセス全体を通じて関与する必要があり、現在のビジネスモデルや、戦略、実行可能性に中長期的に重大な影響を与えるESGリスクと機会は何かを協議する必要があります。

課題 3: 積極的な監督を行う

取締役会が、ESGに対して積極的な監督に移行していくには、ESGの動向や標準、ESG用語が急速に変化していることもあり、取締役全員がESGを継続的に学ぶことを強く奨励すべきです。取締役会はESG情報を単に伝える場とするのではなく、洞察を共有すべきです。

課題 4: 外部からの期待の高まりへの対応

投資家や多くの関係者は、企業や取締役会がESGリスクをどのように評価し、対応しているかについての情報を期待しています。ステークホルダーの期待に応えるべく、外部の声を幅広く聞き、財務・非財務の面から最も関連する指標と情報を開示していく必要があります。

取締役会は、受託責任と経営陣の執行監督という両方の観点から、ESGリスクに対処する際の有効性を継続的に評価する必要があります。今後の経営戦略策定・見直しにおいて、取締役会はESGリスクと機会を理解する必要があることを、そして、それがグローバル企業の取締役会にとって必須となってきていることを、この指針は示しています。 



(特集記事:メールマガジン2020年10月号)

 

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