解説:海外子会社の不正情報にどう対処すべきか

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解説:海外子会社の不正情報にどう対処すべきか
金融商品取引法に基づく内部統制の管理対象範囲がグループ会社全体に及び、また会社法でも、取締役としての善管注意義務の対象となることが明確化された今日、海外子会社での不正行為に関する情報が入った場合の対処は非常に重要なものとなっています。
そのような情報の源は、①内部通報制度に則ったもの、②社内での噂、③内部監査にて把握された疑惑情報など多彩ですが、情報の中身自体(インパクト)もまた様々なレベルに及びます。
当該子会社や日本本社のコンプライアンス・法務担当・内部監査部門の方々は、このような情報に接したとき、どのように考え、行動するべきでしょうか。
まず、情報の中身に関する“重大性レベル”を評価する必要がありますが、その際に考慮すべき要素としては次のようなものがあります。
(1)情報の“質”に関する評価:
提供者の単なる不満の提示や、讒言、嫌がらせなどの様相がどの程度あるのか。(本質から離れた要素の排除)
(2)当面の情報から取り敢えず予想できる「リスクの規模(インパクト)」
(3)「時間」に関する評価:対応に時間がかかった場合に“風評の拡散”などによる、自社ブランドや会社のレピュテーションへの影響度
そのような検討を行う前提として、まず「企業理念などから生じる会社としてのコンプライアンスに関する基本的な姿勢」を確認しておく必要があります。たとえば「内部通報などにより不正情報の提供があった場合に、会社としては必ずこれに誠実に対応する」といった基本的な姿勢・プリンシプルです。また、通報者に不利益を与えない配慮や、誠実な対応ができるかなどにも、会社の姿勢が如実に表れるものです。
上記の“評価”を取り敢えず行った結果、「事実関係調査を実施すべき」との判断に至った場合に、実際にこれをどのように行うべきなのか」という点が、担当者の大きな悩みではないでしょうか。この場合考慮すべき項目は次のようなものでしょう。

①内部だけで調査を行うのか、外部機関を使うのか
②どの程度の費用支出が許されるのか
③調査期間としてどの程度の余裕が許されるのか
④社内の対応能力(この分野の問題解決能力、言語能力、ローカル法などに関する知見など)がどの程度あるのか
⑤調査を行うことで却って風評が広がってしまい、社員に不要な不安を与える、また関係者による証拠隠滅の恐れが生じるなどの“調査の負の側面”についてどう考えるか

その上で、具体的な対処方法を選択しなくてはなりません。以下はその選択肢の例です。

①案件の重要度、リスク規模はさほど大きくないと見積もり、自社内のリソースのみを使って対応する。
②「早急に対応しないとリスクが高い」と判断。とりわけ「法違反の存否についての評価」が必須として、直ちに法律事務所を起用することとする。
③そもそも、社内にこのような選択肢対応を含めた知見・経験が不足しているので、“考え方や進め方”について専門機関のサポートを得る。
④事実関係調査の部分には、調査能力のある内部監査メンバーや法律事務所よりコストパフォーマンスの高い専門機関を起用する。

(メールマガジン特集記事2016年12月)

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